従業員のマーケットインとプロダクトアウト
マーケットインとプロダクトアウトという言葉がある。
説明はAIが便利なので、AIに聞いてみた。
プロダクトアウトは「自社の技術や作りたいもの」を起点とする企業視点のアプローチです。一方、マーケットインは「市場や顧客が求めるもの」を起点とする顧客視点のアプローチです。
違いをわかりやすく比較・整理もAIがしてくれた。
| 項目 | プロダクトアウト(Product Out) | マーケットイン(Market In) |
|---|---|---|
| 起点・軸 | 自社の技術、ノウハウ、理念 | 顧客の要望、市場調査、競合分析 |
| 考え方 | 「良いものを作れば売れる」 | 「求められるものを作れば売れる」 |
| ターゲット | 潜在ニーズ(顧客が気づいていない価値) | 顕在ニーズ(顧客が言葉にできる要望) |
| メリット | 他社と差別化しやすい、新しい市場を創出できる | 失敗リスクが低い、安定した売上が見込める |
| デメリット | ニーズとズレた場合に売れ残るリスクがある | 競合と似た商品になり価格競争に陥りやすい |
| 代表例 | Apple社のiPhoneなど | ライザップのサービスなど |
AIに作らせると、iPhoneはプロダクトアウトの一例として紹介されるんだな。
基本的にはプロダクトアウトではなく、マーケットインが良いとされることが多い。自分よがりではなく、市場が求めるものを作りなさい、ということ。そうすれば事業がうまくいくよ、と説明している書籍が多いように思う。
さて、先日スタッフ全員と面談したのだが、1人のスタッフから質問された。
「クリニックをどのようにしていきたいんですか?」
いや・・・それ理念として共有してるだろ、と思ったが、理念が浸透していないのかどうか気になるのでそのまま話を聞いてみた。
話を聞くと、今ある理念は浸透しているようだった。が、その理念が示すクリニックの将来はそのスタッフの思う「クリニックをどのようにしていきたいんですか?」という質問の回答にはなっていないようだ。
話を聞くうちにある程度見えてきたのが、医師の配置、看護師の配置、事務の配置、診療時間、診療日数、診療内容など、様々な箱の中について答えを求めているようすだった。
結局、そのスタッフは自分の求めている質問の本質的な意味を私に伝えることができず、私も明確な答えを提示することができずその面談は終了した。
面談が終わってから、理念の浸透が難しいなと思ったり、なんであいつはわからないんだ、と思ったり、結局質問の意図はなんだったんだろう、と思ったり。色々とモヤモヤしていた。
ところがさっき、ふとプロダクトアウトとマーケットインの話が急に頭に降ってきた。きっかけは集患対策について考えていただけ。でも今回のスタッフと私の考え方の違い、質問の意図と回答のずれはプロダクトアウトとマーケットインで解決できるのではないだろうか。
私は自分のクリニックの理念をマーケットインの考えで示してきた。「クリニックは地域においてどのような役割を担うのか、周囲からどのように思われ、どのように利用されたいのか、今後の患者数の指標は、売上と利益はどれぐらいを目標とするのか」
この理念を実現するためには形はどのように変わっても良い。診療日や診療時間を変えても良いし、診療内容も今後変更するかもしれない。スタッフの人数や働き方、従事する職務内容も変わることだろう。
一方、おそらくこのスタッフはプロダクトアウトで自分の所属するクリニックの将来を考えていたのではないだろうか。「どのような勤務時間で週何日働き、どれぐらいの給料がもらえるのか。自分に求められるスキルは何で、どのように準備したら良いのか。転勤はありうるのか。人数が増えていくのか。人数が増える時、自分と同年代が増えるのか、それとも年の差が大きく開いていき、職場で話が合わなくなっていくのか。」
そう思ったらしっくりきた。経営者である私が考えるクリニックの未来と、勤務するスタッフが求めるクリニックの未来はこのようにしてギャップが生まれているのではないだろうか、と。
私にとってクリニックは最後の職場となる可能性が高い。しかし、勤務するスタッフにとっては次の職場までいる一時的な居場所の可能性が高い。
さらに、30後半からは徐々に転職市場も厳しくなってくる。転職したくても次の職場がなかなか見つからない可能性もあるだろう。そうなるとスタッフが今いるクリニックに居続けても良いのかを考えるようになる。勤務し続けて、突然勤務内容が大きく変わり、自分が勤務できなくなるようなクリニックになってしまったら職を突然失うわけだ。スタッフにとっては地域にクリニックがどのような役割を担うかなんて関係ない。これからどのようにして生きていくか、そちらの方が大きい関心ごとだろう。
この溝は埋まらないだろう。埋める必要もない気がする。今後考えていくべきは、このような思考のスタッフは雇わない方が良いのか、あるいはこのような思考でも関係なく十分な働きをしてくれるのか。次からの雇用に向けて考えていく必要がありそうだな。
